憲法は守るものではなく活かすもの

日本国憲法の問題点を考える

前回は、国民の財産が目減りするのは憲法違反であることを述べた。
今回は最終回として、憲法を活かすことについて考えていこうと思う。

日本人の法意識の低さ

日本人は、もともと法律に関する意識が低い特徴がある。
和をもって貴しとなし、争いごとを好まない気質からきていると思う。

それに関してはいいことだと思うのだが、
あまりに法意識が低すぎるのは問題だ。

川島武宜博士は、かつて日本人の法意識の低さを嘆いてこう言った。

法律のしろうとは、法律さえ作れば、何でもすぐ世の中は変わってしまうと思いがちである(たとえば「親に孝行せよ」という規定を民法の中に書けば日本中の人々が親孝行になる、という考えが、つい近年まで大真面目に主張されていた)。だが、法律を作っても、それが現実に行われるだけの地盤が社会の中にない場合には、法律というものは現実にはわずかしか、時には全く「行われない」―社会生活を規制するという機能を持たない―のである。(川島「日本人の法意識」岩波新書)

現実問題として、
法律は弱者の味方ではなく、知っている者の味方なのだ
グレーゾーン金利などがいい例だ。

法意識が低いと、いざという時、自分の身を守れない。

日本の統治体制は中国と何ら変わらない

日本は三権分立を憲法に明記している。
しかし実態はどうだろうか?

立法、つまり法律を制定するのは国会の役割である。
だが、実際に法律の文面を作成するのは官僚がほとんどだ。

当然、官僚は自分の不利になるようなことはしない。
文面の中に必ず抜け道を差し込んで骨抜きにしてくる。
国民のことを考えるよりも、自分たちの省庁の権益を最大にして、
天下り先を確保した者が出世するのだから仕方ない。

まして、使う予算は税金で自分の懐は痛まない。
問題を起こして国民に損害を与えたとしても、クビになることはない。

彼らには「この国を動かしているのは自分だ」という確信と自負がある。
法律上の根拠がないだけで、実質的な支配者と言っていい。

このことを裏付けるのが、役所の体制だ。

例えば、『この橋を牛と馬は渡っていいが、ゾウは渡っていけない』という法律があったとする。
なら、カバは渡れるのか? と市に聞いたら「渡っていい」と回答があった。
ところが、後で県から「渡っていけない」と言われた。

こうなると、中央にお伺いを立てることになる。
最終的に判断を下すのは、中央のお役人なのだ。

つまり、官僚はルールを作ることができる
ルールを作ることができるのは、実質的な支配者だけだ。

権力とは、ルールを決めることができる力のことを言う。
よって、官僚こそがこの国の権力者と言える。

ルールを作れるものは最強だ。
経済市場では、ルールを作ったものが一番もうかる

この日本では、
国の運営も経済も、官僚が支配していると言えるだろう。
何せ、好きに規制をかけたり、はずしたりできるのだから。

こうなると、体制的には中国と何ら変わりない。
矢面に出ているかないのかの違いに過ぎない。

本来であれば、このような権力者から身を守る拠り所になるのが憲法の役割なのだ。

改憲の議論より先に憲法を活かす地盤を作る方が先

  • バブル崩壊
  • 年金制度の破たん
  • 薬害エイズ
  • アスベスト
  • 拉致問題
  • 沖縄の米軍基地問題
  • 原発事故

日本国民は長きにわたり、違憲状態に置かれてきた。
憲法とは、権力者の横暴から庶民を守るためにあるはずなのだが、
日本において、これまで憲法が正常に機能してきたとは言い難い

最近、一票の格差に違憲判決が相次いで出ているが、
解消しようとする動きは鈍い。

まぁ、国会議員の失職につながることなのだから、
そうなることは予想できる。

そもそも日本は選挙が多い。
参議院は3年に1回過半数を改選するし、
衆議院もしょっちゅう解散する上、補欠選挙もある。

頻繁に選挙があるのだから、
国の行く末より、自分の当落が気になって当然だろう。
だから、地元や支援団体への利益誘導に余念がない。

政治家にとって、選挙は就職活動になってしまっている。
こういう者たちが、憲法改正を訴えるのだから恐ろしい。

憲法改正を唱えるのも、国のためでなく、
個人の信条のために変えようとしているのではないかとさえ思える。

真に国民の権利と財産を守るというなら、
すでに違憲状態に置かれている国民の権利を回復させることが先のはず。

そのためには、国民自身が、
憲法を活かせるように意識の改革をしなければならない

最新の免震技術を駆使した東京スカイツリーも、
地盤のゆるいところに建てたら、あっという間に倒れてしまう。

大事なのは、建てる物よりも地盤の方だ

国民の中に憲法を活かす意識がなければ、
改憲しようがしまいが、今の現状が変わることはない。

憲法を考えるにあたって重要なことは、
条文の文面よりも、どうやって憲法を活かすかを考えることである。

★まとめ

  • 改憲論議で重要なのは9条ではない
  • 日本国憲法は有名無実化している
  • 憲法は国民の生命と財産を守るためのもの
  • すでに長きにわたって日本国民は違憲状態に置かれている
  • 考えなければならないのは、憲法の精神を活かそうとする国民の意識

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